静岡市では、高齢者が安心してひとりで外出することができる地域をつくることを目的に、平成30年度より認知症高齢者の捜索模擬訓練を実施しています。
認知症高齢者の捜索模擬訓練は、認知症の人が徘徊等で行方不明になったという設定のもと、地域包括支援センターを中心とした地区の住民等のネットワークにより、行方不明者の捜索や声掛け・対応訓練を実施するものです。
平成30年度は、番町小学区、大谷小学区、有度第二小学区の市内3小学区でモデル事業として実施をし、地域の方や介護事業所の職員など総勢438名が参加しました。
おおまかな訓練の流れ
1 事前準備
① 実行委員会の立ち上げ、打ち合わせ実施
実行委員会は、地域の自治会、地区社会福祉協議会、民生委員・児童委員などで構成されました。
訓練の日時、規模、エリア等の内容について話し合います。
② 認知症サポーター養成講座 等の受講
認知症サポーター養成講座では、認知症の人に対する対応の仕方などを学びました。
医師による認知症ミニ講演会では、認知症の症状や予防について学びました。
2 訓練当日
① 本部に集合
サポーターの集合時の様子
捜索隊は本部である体育館に集合しました。このとき、認知症役、ダミー役、認知症役とダミー役に付くサポーターは、別の場所に集合しています。
- 捜索隊
- 当日参加の一般市民が認知症役を捜索する。
- 認知症役
- 認知症の方になりきり、エリアを徘徊する。見守りシールを付けている。
- ダミー役
- 認知症役と同様の動きをする。見守りシールを付けていない。
- 認知症役とダミー役に付くサポーター
- 認知症役、ダミー役と一緒に行動し、記録やサポートを行う。
② 開会式
実行委員会の会長が開会のあいさつを行いました。
③ 訓練の内容説明
地域包括支援センターの職員が訓練の説明を行いました。
訓練の内容を分かりやすく説明するため、寸劇も行いました。
声かけのポイントは、
①驚かせない、
②急がせない、
③自尊心を傷つけない
の3つです。
④ 認知症しずメール 発報、捜索開始!
捜索隊の携帯電話に、認知症役の特徴が書かれたしずメールが送信されました。捜索隊はメールの情報と認知症役の靴に貼られている見守りシールを頼りに認知症役を探します。
消防車は、地域住民に訓練実施のアナウンスを行いました。
大谷小学校区、有度第二小学区では、捜索隊に地域の介護事業所の職員が加わり、捜索中に認知症クイズを行いながら、捜索しました。
⑤ 認知症役発見!?
認知症役と思われる人を見つけたら、声をかけます。
番町小学区では、認知症役を「幻覚・興奮タイプ」、「困った!混乱タイプ」、「まっしぐらタイプ」、「そわそわタイプ」の4つのパターンに分け、各タイプの認知症役がエリアを徘徊しました。
⑥ 訓練終了後の感想発表
大変でした…。」
最後は参加者が本部に集まり、感想を発表し合いました。
⑦ 閉会式
閉会式を行い、訓練は終了です。
3 訓練実施後
① 訓練終了後の各地区での実行委員会
訓練実施後、実行委員会委員が集まり、これまでの振り返りや訓練の反省等を行いました。
② 実施地区合同意見交換会
各実施地区での実行委員会後、実施地区3か所の実行委員会が集まり、今回の訓練や今後の訓練について意見が交わされました。
会の最後には、各実行委員会に記念品としてのぼり旗が手渡されました。
訓練終了後のアンケートでは、訓練について、回答者の約9割が「大変よかった」「よかった」と回答し、「実際にやらないとわからないことが体験できてよかった」「地域の方と交流できたのはよかった」「今後もやってほしい」というお声もいただきました。
アンケート集計結果(一部抜粋)
参加した感想(単位:人)
①大変良かった | ②良かった | ③あまり良くなかった | ④全く良くなかった | 無回答 |
---|---|---|---|---|
88(27.2%) | 193(59.6%) | 26(8%) | 4(1.2%) | 13(4%) |
今後やってみたいこと(複数回答可)(単位:人)
①認知症カフェに参加 | ②自治会等地区活動に参加 | ③認知症サポーター養成講座を受講 | ④しずメールの登録 | ⑤ボランティア活動 |
---|---|---|---|---|
41 | 135 | 48 | 62 | 56 |
⑥S型デイサービスの運営協力 | ⑦地区の防災訓練に参加 | ⑧元気いきいきサポーター活動 | ⑨居場所づくり | ⑩その他 |
36 | 82 | 23 | 41 | 9 |
各実施地区について
●番町小学区(安西番町圏域)
訓練実施内容- 日時
- 平成30年11月10日(土)9:30~12:00
- 集合場所
- 特別支援教育センター体育館(番町市民活動センター)
- 参加人数
- 163名
古くからの問屋街や商店街の名残が街並みに残り、旧家には三世代同居世帯も多い。また、一方で工場跡地の大規模宅地分譲により、郊外の一部地域では若い世代が流入し地域を形成している区域もある。
人口 | 65歳以上人口 | 高齢化率 |
---|---|---|
18,719人 | 6,143人 | 32.81% |
●大谷小学区(大谷久能圏域)
訓練実施内容- 日時
- 平成30年10月27日(土)10:00~12:00
- 集合場所
- 大谷小学校体育館
- 参加人数
- 174名
畑に出て働く高齢者が多く、家族との同居率が高い農業地域と、団塊の世代が中心で急激な高齢者世帯の増加が予測される昭和40年代に造成された住宅団地に大きく2分される。
人口 | 65歳以上人口 | 高齢化率 |
---|---|---|
9,689人 | 2,718人 | 28.05% |
●有度第二小学区(有度圏域)
訓練実施内容- 日時
- 平成30年12月8日(土)9:30~12:00
- 集合場所
- 有度第二小学校体育館
- 参加人数
- 101名
国道1号線や鉄道の駅があるなど、交通の便は良い地区もあるが、駅から離れた公共交通機関の利便性が低い地区では、生活上の不便が生じ、外出機会を失ってしまう一因となっている。
人口 | 65歳以上人口 | 高齢化率 |
---|---|---|
36,911人 | 10,281人 | 27.85% |
平成31年度以降も実施地区を増やし、訓練を実施していきます。みなさんのまちで訓練が行われる際には、ぜひ参加をお願いします!