フレイルとは?
年をとると誰もが体力や筋力が低下し、買い物に出かけるなどの行動が面倒だと感じるようになるものです。そして、人と接する機会が減ったり、食生活のバランスが崩れたりすることにより、ますます体が衰え、さらには、判断力など頭の働きも低下するという悪循環を招いてしまいます。
このように、年をとって、心身の活力(筋力、認知機能、社会とのつながりなど)が低下した状態を「フレイル」といいます。「フレイル」は、「虚弱」を意味する英語「frailty」を語源として作られた言葉です。
多くの人が健康な状態からこのフレイルの段階を経て、要介護状態に陥ると考えられています。フレイルの兆候を早期に発見して日常生活を見直すなどの正しい対処をすれば、フレイルの進行を抑制したり、健康な状態に戻したりすることができます。
静岡市では、東京大学高齢社会総合研究機構が開発したプログラムに基づき、毎月1回、市内各地で「フレイルチェック」を開催しています。「フレイルチェック」をすることで、自分の筋肉量やお口の機能など、健康状態(フレイルの兆候)を知り、いつまでも元気で楽しくいきいきとした毎日を送るための秘けつを、楽しく学ぶことができます。
これからの健康で楽しい暮らしのために、フレイルチェックをしてみませんか?
フレイルチェックで、「日常生活改善のポイント」が分かります。
上右のグラフは、フレイルチェックを受けた方の結果の一部です。
「ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速いと思いますか?」の質問に対して、74歳以下の前期高齢者は、81%が「はい」と答えましたが、75歳以上の後期高齢者は、68%になっています。
いす立ち上がりテストでは、74歳以下の68%の方、75歳以上の44%の方が片足で立ち上がれました。
足の筋力が低下すると、転倒・骨折につながるおそれがあります。フレイルチェックをとおして、自分自身の状態を確かめ、日常生活の改善につなげることが大切です。
フレイルチェックの内容
フレイルチェックは、全体で行う簡易チェックと個別の測定を含む総合チェックがあります。
質問紙や測定機器を用いて、栄養(食・口腔機能)、運動、社会性・こころのフレイルの兆候を測定し、自分自身で結果を確認しながら、総合チェックシート(通知表)を作成していきます。
チェックシートにシールを貼りながら、みんなで楽しく受けられる、約2時間のプログラムとなっています。
時間 | 内容 |
---|---|
10分 | 導入 |
20分 | (1)簡易チェック ① 指輪っかテスト&イレブン・チェック ② 噛む力 |
45分 | (2)総合チェック【測定】 ① 滑舌 ② いす立ち上がりテスト ③ ふくらはぎ周囲長 ④ 握力 ⑤ 手足の筋肉量 |
15分 | (3)総合チェック【質問紙】 ① お口の健康度 ② 人とのつながり、社会参加 ③ こころ |
20分 | (4)結果の解説 |
10分 | アンケート(感想など) |
(1)簡易チェック
① 指輪っかテスト&イレブン・チェック
まず、自分のふくらはぎの筋肉量を「指輪っかテスト」という簡易計測方法を使ってチェックします。筋肉量の維持は自立した生活を続けていくのにとても重要です。
また、「はい」「いいえ」の2択で11項目の質問に答える「イレブン・チェック」を行います。健康を維持していくうえで重要な、栄養・口腔機能・運動・社会性やこころに関する生活習慣について確認します。
「指輪っかテスト」って?
親指と人差し指で輪っかをつくってみましょう。
測定機器を使わず、自分のふくらはぎを指で囲むことで、自分の筋肉量が把握できる簡易型のチェック方法です。
② 噛む力
ものを噛むときには、「咬筋」という筋肉が動いています。咬筋の収縮を評価し、噛む力の強さをチェックします。
(2)総合チェック【測定】
① 滑舌
お口の健康度を見るために、機器を使って滑舌のレベルを確認します。5秒間に何回、「タ」(もしくは「カ」)を発音できるかカウントします。口周りや舌の筋肉が弱っていないか調べることができます。
② いす立ち上がりテスト
足腰の筋力とバランスをチェックするために、いすからの片足立ちの状況を確認します。
③ ふくらはぎ周囲長
サルコペニア(年をとるにつれて筋肉が衰える現象)のリスクを見るために、ふくらはぎの太さを計測します。筋肉の衰えは、栄養不足、転倒・骨折、認知症になるリスクを高め、要介護状態へとつながっていきます。
④ 握力
サルコペニアのリスクを見るために、握力の強さを計測します。
⑤ 手足の筋肉量
サルコペニアのリスクを見るために、手足の筋肉量を計測します。
(3)総合チェック【質問紙】
質問紙を使って、①お口の健康度②人とのつながり、社会参加③こころの元気度について確認します。
(4)結果の解説
すべてのチェックが終わったら、結果の解説があります。それぞれのチェックにどのような意味があったのか、そしてどのようなことに気を付ければよいのかを確認しましょう。
さあ、あなたもフレイルチェックに参加しましょう!
令和4年度は9月以降に各区で1回ずつフレイルチェックを開催予定です。静岡市にお住まいの65歳以上の方なら、どの会場でも、ひとりからご参加できます。参加費は無料です。ご友人と誘い合ってのご参加も大歓迎!
持ち物は、水分補給用の飲み物とタオル。軽装でお出かけください。プログラムの中で、手足の筋肉量を測る際に裸足になっていただく場面があります。
また、自治会等の地域団体や企業等、市内の65歳以上の方が集まる会場に出張して、「指輪っかテスト」と「イレブンチェック」を行う“出張フレイルチェック”もお申し込みいただけます。
詳しくは 地域包括ケア推進本部【電話番号:054-221-1576】までお問い合わせください。
市民ボランティア
「フレイルサポーター」が運営しています。
フレイルチェックは、より多くの人に気軽に参加していただけるよう、「フレイルサポーター」を中心に実施されています。
「フレイルサポーター」は、一定の養成講座を修了した市民ボランティアで、地域の健康づくりの担い手として活躍することで、自らの健康増進にも取り組んでいます。
養成講座は、毎年1回開催の予定です。
【参考】飯島 勝矢(東京大学高齢社会総合研究機構)「フレイル予防ハンドブック」「フレイルサポーター養成テキスト」